産むことは女性だけの責任?

昨今、「少子化」が騒がれ続けています。

出生数はついに100万人を割ったようですし、高齢化と併せて考えるべき問題でしょう。


また、2007年には当時の柳澤厚生労働大臣の「女性は子供を産む機械」発言が話題となりましたよね。

国としても、出生数を増やすことは何年も前から急務なのだと思います。


つまりその為には、「産め」と。


しかし、そもそも妊娠・出産・育児というのは女性だけに押し付けるものなのでしょうか。

妊娠をするにしても男性が必要になりますし、出産・育児に関しては精神面・経済面など多方面において一人でやっていくにはなかなか大変なものだと思います。

実際、僕の祖母も二人の子を抱えてすぐに夫と死別してしまい、一人で仕事、家事、育児などをやってきてとても苦労したと聞いています。

しかも当時は今よりも女性差別や賃金格差が深刻だったので、過酷だったことでしょう。

おばあちゃん孝行したいよ。


戦前から今にかけて、人口政策はどのような方針が取られていたのか簡単に整理しておきます。

①戦前・戦時中 

「とにかく人員が欲しい!男を産んで日本を支えよう!」という意識のもと、女性を産む機械として、人口増殖を目指していました。

その一方で、女性は男性を支えろ、そのために工場で働けという意識が強かったようです。


②戦後(高度経済成長期にかけて)

GHQの影響を受けつつ、「近代化だ!」「産まない自由だ!」という論調が見られ、

政府としても出産を抑制し始めます。

同時に、両親とその子どもからなる「核家族」が増加。

女性は「家事をする妻」「育児をする母」であることが求められてしまいます。

それにより、出産や子育ての責任を女性に押し付けるようになります。(ひどい話だ。)


③現在

そうした経緯を踏まえて現在。

女性の社会進出は少しずつ改善し、「働く女性」「女性の労働力」が求められている時代になっていると思います。(細かく見たらたくさん問題はあるけど)

しかし同時に、少子化を受けて機械かのように「子どもを産め」と求められているのです。


つまり戦時中に求められていたことと同じようなことが求めれており、

しかも未だに「家事・育児は女性が主体」という認識が根強いのが現在。

戦前・戦時中から一貫して女性だけが「自由な意思」を男性よりも強く制限されているようにも感じます。


確かに身体的な機能として出産することができるのは(生殖機能のある)女性だけかもしれませんが、それだけを理由に全ての責任を女性に押し付けて良いとは言えないのでしょうか。

妊娠・出産・育児は男性、または他のパートナー、とても多くの人が関わるものでしょうし、またそのように関わってこそ、「産みたい」と思う人が安心して産める世の中になると思います。

女性に対して「産め産め」「産まないと一人前じゃない」などという前に、

様々な方面から、改善できるところを見直していくのが筋ではないでしょうか…。

お母さん、ありがとう…。

参考

L'atelier de 423

イラストや文芸作品、ジェンダー中心のアカデミックなコンテンツ

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