『はじめてのジェンダー論』が分かりやすい。


僕は学問の持つ「取っ付きづらさ」が好きではない。

どうしても「◯◯学」や「◯◯論」のような名前をしていると、「お堅い」印象がするし、「頭の良い人」の間で読まれているだけという感覚が個人的にはある。
小中学生くらいの時から、「勉強しているやつは真面目で堅苦しい、小難しいやつ」というようなイメージがあるせいだろうか。

しかし、多くの人は自分の知らなかったことを知ったり、考えたりすることを嫌いではないのではないか、と思う。テレビで雑学系の番組を見て、面白いと感じることと「学び」は本質的に同じだと思うからだ。

そんな「勉強嫌い」の人でも取っ付きやすい本(ジェンダー関連で)でおすすめのモノがある。

それが、加藤秀一『はじめてのジェンダー論』(有斐閣ストゥディア,2017)という本。

世の中に出回っている「はじめての〜」「〜入門」といったシリーズには、あまりにも簡略化し過ぎて取りこぼしが多い面もある。もちろん、「学びのきっかけ」として読むにはとても良いと思うが、「正確な知識」と「問題意識」を携えて「深く」学んでいこうとする人には、この本が適していると思う。(僕も超初心者だけど…)

【内容】
・ジェンダーとは何か
・マイノリティとマジョリティとは
・性差はどのように語られるか
・メディアと教育によるジェンダー観への影響
・性暴力について
・性別役割分業

など、ジェンダーにまつわる広範囲の問題を、基本的な語句の意味も押さえながら、具体例を軸に紹介している。
読んでいて、「確かにそういう話聞いたことあるかも。」「この偏見はこういう経緯で形成されていたのか。」と、納得しながら読めるので、自分でも身近な問題について調べたり考えたみようという気になる。

また、全13章あるが、章ごとの分量が少ないため気軽に読むことができるのも取っ付きやすい点だ。

「別にジェンダーとかそういう話興味ないよ〜」という人でも読んでみると、「えっ、そんな問題あったの!」「もしかして傷つけるようなこと言ってたかも?」となるでしょう。(なった)
2017年に出版されたかなり新しい本なので、「古臭い本は読むの面倒…」な人でも読みやすいよ。

推しの1冊。

L'atelier de 423

イラストや文芸作品、ジェンダー中心のアカデミックなコンテンツ

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