痴漢被害は女性だけ?

「痴漢」という言葉は、Twitterなどを利用していると頻繁に見かける。

大学生になってから、ジェンダーや性に関する問題に関心があるので、以前よりも「被害女性」たちの書き込みを読むようになった。読んでいると、思い出したくもないような出来事を語る勇気に感動するし、自分の知らないところでそんなことが起きているのか、と気持ち悪くなる。
「女性」というだけで、しかも電車に乗るだけで常に痴漢されるかもしれないという恐怖感を抱くというのは、「男性」として生きてきた自分には想像することしかできない。

なので、「女性」という立場から痴漢を考える際は、「女性」に任せるしかないのでは、と思っている。痴漢に怯える女性に、「女性専用車両があるから良いだろ!」「自意識過剰だ!」などと意見する人もいるが、それらは全く的外れだろう。

しかし一方で、痴漢は本当に「男性→女性」だけなのかと単純に疑問に思った。

最近は「触らない痴漢」なるものが危険視されているが、それは、執拗に視線を向けたり、ニオイを嗅いだり、近づいたりすることで「不快感」を覚えるからであると思う。
そういった観点から見るのなら、僕も(特に夏場)おじさん、おばさんたちでぎゅうぎゅうの車内に押し込まれたりするのは不快だし、おじさんの吐く息が顔にかかったりするのなんか最悪だ。

また、満員電車で女性と近づいてしまった時に不快になる男性だっているはずだ。(女性も不快だろうけど)こういった状況で、男性が加害者として見られることが多いのは、「男性=何事にも女性より積極的、特に性に関しては主導権を握ろうとする存在」というようなイメージが浸透しているからではないか。

少し調べてみると「女性(男性)から痴漢被害を受けた」という「男性」が意外にも多い。インターネットでいくつも記事が出てくるが、被害男性は「まさか“男”の自分が痴漢被害に遭うとは」と語っている。しかし、彼らは抵抗することも出来ないし、被害を訴えることもままならない。

なぜなら、「男性」は痴漢を「する側」と見られており、痴漢を「される側」として見られることがほとんどないということだ。
「俺、この前電車で体触られたんだけど…」と話しても、笑い話にされてしまうことが多いらしい。

痴漢は「男性→女性」だけでなく「女性→男性」「男性→男性」という構造もある。もちろん性的マイノリティも含まれるので、被害者と加害者の組み合わせは何通りにも増える。誰でも「被害者」になり得るし、「加害者」になり得るということだ。
これは痴漢被害だけでなく、セクシュアルハラスメントや性暴力など性に関する問題全般に言えると思う。

結局、僕が言いたいのはどんな問題も一面的に捉えるのではなく、色々な角度から考えられるし、どの角度にも優劣はないよね、ということ。
個人的には、「男性」として電車に乗るのも怖い。

参考 

L'atelier de 423

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