女性の社会進出は「男性化」?

「女性の社会進出」という言葉をよく聞く。


たしかに、昔に比べれば女性が正社員として働き、家庭の外で活躍するような環境にはなってきていると思う。未だに賃金格差や昇進のしにくさはあるけれど、少しずつ男女差は縮まっていると思う。


しかし、これって本当なのかな?と考えることもある。一見、「男女平等」が進んできている!と良いことのように思えるが、「女性」を新しい形で閉じ込めているとも言えるのではないか。


つまり、女性の社会進出=女性の“男性化” という現実。


例えば、「将来的に結婚や出産で退社されてしまうかもしれない」との理由から、採用や昇進が妨げられる可能性が高い。そうすると女性の賃金は一向に上がらず、経済的に自立できる女性も増えにくくなるし、家庭に閉じ込もらざるを得なくなる。


また、30代〜40代以降の女性に開かれている正規雇用の道もかなり狭いので、再就職が難しい。


実際、僕の母親は子育てが落ち着いてからはパートタイムで働いている。街中でも、特に昼間に店員などで働いているのは中年女性が多い。


女性がバリバリ働きたい!と願う場合、多くの企業で「子どもを産まない」という選択が強いられることになる。「産んで家に入るか」「産まずに仕事をするか」の2択から選び、後から人生のやり直しがきかない(ききにくい)という現実はあまりに酷だと思う。子育てが女性の仕事と思い込まれているのもおかしな話。


◇◇◇


長い歴史の中で、社会の慣習やシステムなどはほとんどが「男性」の視点から作られてきた。女性と「共に」社会を作っていこうという意識は薄く、むしろ女性は排除して男性を中心に世の中をリードしていこうという意識が近代以降強いのだと思う。


「近代化の証」としてフランスやアメリカで「人権宣言」がなされたけれど、その「人」の中に「女性」は含まれていない。人=男性がある意味常識かのようになっている。


現在、法的には限りなく「男女平等」に近くなっていると思うが、仕事に関する慣習などには依然として「負の遺産」が残っている気がする。


リーダー的な役割に就こうとしても、「女のくせに」と見られたりするし、女性はアシスタント的な仕事にしか就けないような現実もある。(特にテレビのアシスタントは女性ばかり! )男性と同じように働くには完全に男性“かのように”生きるしかない。


仕事をしたい、「男女平等」に生きたいと願う女性に対して、「男性化」することが強いられてしまうのは、この社会が男性をベースに作られたからであり、「男性化」しきれない女性を責めることはできない。


むしろ、男性をベースに作られた社会を一旦見直し、性別やその他の個性に関係なくみんなが暮らしやすい社会作りができれば1番良いのだけれど…。 道のりは長い。


参考

A


L'atelier de 423

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