強制的異性愛 in 中学校


先日、中学時代の友達と思い出話に花を咲かせた。当時は疑うことすらしなかったような行事も、よく考えてみると「暴力性」を孕んでいることに気がついて、胸の中で脂っこいものがべとりと張り付いたような感覚を覚えた。

思い返せば、学校にはジェンダーや性にまつわる問題がいたるところにあると思う。その中でも特に考えさせられたのが、「肝試し」の行事だ。

僕たちの中学校では、2年生の時に「自然教室」と銘打って、農業体験などをしに長野県へ2泊3日で行く。その間の夜に、毎年の恒例行事として「肝試し」をすることになっていた。夜に怪談を聞いたあと、暗い林の中を一周してくるというもの。

それの一体何が問題かというと、肝試しを回るペアは「男女限定」であること。同じクラス内で事前に「自由に好きな人と」ペアを組んでおくというルールだった。

つまり、あらかじめ自分から声をかけ(またはかけられるのを期待し)、異性の相手を見つけなければいけない。

男子の方が若干多い、普段異性と交流していない、今で言うスクールカーストにおける“下層”にあたるなど、様々な理由でなかなかペアを組めない人も多かった。また、自分や友人もそうだが、その過程に苦しんだ人もいた。あまるとくじ引きをして強制的にペアを組まされるし、男子同士のペアも少数ながらいた。

教員たちにはおそらく「男女間の交流を図ろう」とか、「中学生同士の恋愛を促そう」というような意図があったのでは、と思う。ただ、そこには明らかに異性の恋愛しか想定されておらず、生徒たちが大人たちが傍観して楽しむ「おもちゃ」と化していたと言っても過言ではないように思える。

現在、クラスに数人の割合で性的マイノリティがいると言われている。もしかしたら当時、周りには言えずにそういった自分の個性に悩んでいた人もいたかもしれない。
そのような存在の可能性を一切無視して、「男女」に限定して行事を強制するのは非常に暴力的だ。これはまた、単なるグループ決めにおいても、自由に組ませるという自主性を尊重する一方、必ず余る人が出てきてしまい、まさに「晒し者」になってしまう。これは大人であっても苦痛ではないのだろうか。

「疎外感」を感じるのは、自分が集団に属しているからだ。「自分は異性を好きになれないから異常なんだ…」「グループ決めなどで余ってしまうから自分はダメな人間なんだ…」など。

そのような感情を教員になった大人たちも自分で感じてきたり、少なくとも見てきているはずなのに繰り返してしまう。なんだか悲しいことだなあ、と心が枯れてしまう。

せめて、恋愛の対象は異性だけだという幻想を疑うキッカケだけでも教育の機会に存在していたらと思う。

参考 

成功率100%高学年男女に手をつながせる方法

ナイトハイク、肝試しでは、男女がペアになって参加することが多い。 折角なので、思い出に残る行事にしてやりたい。 このペアの男女に、出発直前にあることをすれば、高学年でもウソのように仲良く手をつないで、スタートする。 その方法を紹介する。 自然宿泊体験の前に、必ず次の事前準備をしておく。(1)男女ペアをつくっておく。 (2)ナイトハイクに出かける場所に応じたご当地にアレンジした怪談話を用意する。 (3)ナイトハイクが終わった子は、出発前の子と合わせないように終わった子のルートを考える。この時は、ナイトハイクで、山道を歩かせるので、次の話をした。 話す場所は、屋外のちょっと広いが、電球があまりない、暗い広場がいい。 全員集合させた後に、注目させてから話す。今から、せっかくのナイトハイクですから、実際に、ナイトハイク中に起きた話をします。丁度、君たちのような、東京のある小学校が、この学園に移動教室をしにやってきました。 2日目の夜の企画で、今日のこの場所のような山道をナイトハイクすることになっていました。どこの学校でもそうですが、君たちみたいに、男女でペアで出発します。 その中のAさんという女の子は、とっても怖いもの知らずな男の子Bくんとペアになりました。 Bくんは、とてもハンサムで、クラスでも人気の男の子でした。 Aさんは、恥ずかしいので外には出しませんが、とてもうれしかったのです。しっかりと手をつないで、連れて行ってくれるBくんに、 「やっぱ、すごく心強いな、Bでよかった」 「なんか、いいやつだな」 と思っていました。Aさんは、Bくんのことが内心好きだったのです。ところが、恐る恐る進んで行った山道にも慣れたのか、Bくんが、途中で、こんなことを言いました。 「ねぇ、あそこに山小屋みたいのがあって、電気ついてるよ。ちょっと面白そうだから行ってみようぜ。」 つないでいた手を離し、決められた道のロープを乗り越えて行ってしまいました。「ちょっと、待ってよ、Bくん!ねぇ!!」 Aさんは一生懸命に引き止めますが、聞く耳を持たずBくんは行ってしまいました。 Aさんは、真っ暗な道にたった1人で取り残されて、もうパニックです。「Bくん!」 「Bくん!!」 と何度も声をあげて、泣き叫びながら、Bくんを必死に探しました。すると、10mぐらい先に、Bくんの人影が見えました。 「ああ、よかった!

www.tos-land.net

ここのサイトでは、男女のペアを「成功」と捉えている。

L'atelier de 423

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